WITHERFALL

CURSE OF AUTUMN

Sony Music Japan Out now

2018年のアルバム『A Prelude To Sorrow 』は、癌のため25歳の若さで亡くなったドラマー、アダム・サガンに向けてバンドが呼びかけたような作品で、堂々たる出来映えだった。その前年にリリースされたデビューアルバム『Nocturnes And Requiems』をはるかに上回るもので、すべての曲に溢れ出る様々な思いを込めた、明らかな力作だった。だからこの新作をプレイする前に私が抱いた大きな疑問は、彼らが前作のような個人的なテーマをクローズアップせずに、同じ高いレベルの曲が書けるのだろうかということだった。

 

イエスというのがその簡潔な答えだが、そう言うだけではこのアルバムをきちんと評価したことにはならないだろう。イエスの意味は、彼らがあらゆる面で成長し、すべてのメタル・ヘッドを間違いなく満足させ、業界を驚かせるようなフォローアップを生み出したということだ。本作『Curse Of Autumn』は、あらゆる面で正しい方向に踏み出したと言える。その方向とは、皮肉なことだが、ある意味前作よりもより懐古的な趣きである。そしてそれがすなわち進歩なのだ。私は支持するかって?ああ当然だ。

 

このレビューで何か一つ際立った点を挙げようというつもりはない。なぜなら楽曲、そこに現れている陰影、織り成すサウンドは、どれをとってもこれまで私が聴いてきた中でも完璧に近いものだからだ。どのジャンルに属するのか?どれくらい挙げればいいだろうか?へヴィでパワフル、スピードもあるプログレッシヴ・メタルであり、ロックでもあるし、気高いアコースティックな響きもある。喜びのつづれ織り、すべてが美しく織り込まれた荘厳な一枚だ。これがもし絵画だとしたら、ルーブル美術館に飾られてもいいと言いたいところだ。

 

日本盤には2曲のボーナストラックが収録されている。私が評価するのは、ただの捨て曲を収録したのではないことだ。正規アルバム曲は、ボストンが1976年にリリースしたデビューアルバムに収録していた「Long Time」のアコースティックカバーバージョンで閉まる。最初のボーナストラックはそのバンドバージョン、2曲目は「The River」のアコースティックバージョンである(バンドバージョンは9曲目に収録)。これでアルバムは閉まるが、まるで組曲のような展開で、とてもいい終わり方だと思う。

 

何よりもこのアルバムはウィザーフォールが月並みなバンドではないこと、彼らの前には明るい未来が拓けていることを証明している。本作『Curse of Autumn』のソングライティングとレコーディングに関わったすべてのバンドメンバーとエンジニアに、お見事!と言いたい。彼らが目覚め、カーテンを開けた時、新しい心象を抱くのではないだろうか。そこには太陽が輝いているのではなく、大空に満面の笑みを浮かべたアダムがいるはずだ。

 

Track List

Deliver Us Into The Arms Of Eternal Silence

The Last Scar

As I Lie Awake

Another Face

Tempest

Curse Of Autumn

The Unyielding Grip Of Each Passing Day

The Other Side Of Fear

The River

…And They All Blew Away

Long Time (acoustic version)

Long Time (band version)*

The River (acoustic version)*

 

*Japanese edition bonus tracks

LIFESIGNS

ALTITUDEI

INDEPENDENT Out now

私が10代の頃の数年間、プログレッシヴロックほど素晴らしい音楽はこの世にはないと思っていた。ユーライア・ヒープ、アバ、セックス・ピストルズらの名盤を含むレコードコレクションを持っていながら、圧倒的に代表的なジャンルはプログレだと思っていて、イエス、ELP、ジェネシスやその仲間をたくさんコレクションしていた。1982年にマリリオンが来日した時、イエスが彼らの手本になったと感じたので、私のヒーローが落としたバトンを手にしてくれたことを嬉しく思った。ジェネシスもELPもレコード会社の「売れ線狙い」圧力に屈し、彼らの70年代の全盛期の作品と比較して著しくレベルの低いアルバムを作ってしまった。それ以降、私は1989年にフィッシュがマリリオンを抜けてからこのジャンルへの興味を失ってしまったことを告白する。新しいバンドが次々台頭下2000年代のプログレ人気の再燃は健全なものだったが、そうしたバンドは70年代の大物バンドをコピーしているか、もはやプログレとは何かという概念を失ってしまったような変なテンポ展開やアクロバティックな演奏アクションでこのジャンルを前進させたとしか思えなかった。そんな状態が続いていたが、今週、レターボックスに届いた1枚のアルバムを見て、「救世主が戻ってきた」とラウンジを駆け回った。

 

まあ、そこまで大袈裟ではない。でも、Lifesignsのニュー・アルバムは、クラシック・プログレを明確に理解し、その方向性を知っているバンドによって書かれ、演奏された、素晴らしい作品である。『Altitude』は、キーボードのジョン・ヤング作の8曲で構成されている。他メンバーは、デイヴ・ベインブリッジ(ギター)、ジョン・プール(ベース)、ゾルタン・チョルツ(ドラム)で、それぞれがプログレの世界で優れた経歴を持つ楽器の名手たちであり、このジャンルにぴったりだ。15分を越える長い曲で幕を開けるのは、表面的にはかなりリスクが高いと思われるが、この曲は非常に美しく構成されており、あっという間に過ぎてしまう。穏やかなオープニングから一連のムードを漂わせ、それぞれが完璧に次へと移行していく。エンディングの染み入るような温かさは、心に残り、包み込まれるような心地よさがある。

 

各曲にはそれぞれ個性があり、トラックごとにアルバムの解説を書きたいところだが、それでは最初に聴いたときの楽しさが半減してしまうから、信じてほしい。再生ボタンを押すと同時に、(あなたのハイファイのように)本当に素晴らしい気分になるだろう。ジョンとスティーブ・リスピンがプロデュースしたこのアルバムは、私がここ数年で聴いた中でも最高のサウンドであり、各楽器の間のスペースや特定の楽器の音さえも、まるでアルバムが息をしているかのようだ。彼らは強力なチームであり、彼らがこれから同胞とどんなことをするのか、そしてまだリマスタリング処理が施される以前の往年のアルバムをぜひ聞いてみたい。
『Altitude』は、ラジオから流れる音楽のように親しみやすいサウンドから切なくアンビエントなサウンドまで、様々な喜びのタペストリーであり、それぞれのサウンドは極限の心地良さをもたらす。ということで、最大級の賛辞を以下にまとめたい。このアルバムは、昔ながらのプログレの最高傑作であり、ニュープログレ・ロッカーの最高傑作でもあるのだ。

 

プログレッシヴロックは遂に進化したのだ。

Track List

Altitude

Gregarious

Ivory Tower

Fortitude

Shoreline

Arkhangelsk

Last One Home

Altitude Reprise