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ALBUM
TUK SMITH
& THE RESTLESS HEARTS

BALLAD OF A MISSPENT YOUTH

Sony Music International

 時々、ロックンロールとは何かを真に理解する新しいバンドが現れる。彼らはそれを再発明したり、リブートしたりはしないし、腕に一撃を加えたり、尻を蹴り上げたりもしない。彼らはただ出てきて、我々に必要なものを演奏してくれる。皆さん、そんなバンドがタック・スミス&ザ・レストレス・ハーツなのだ。

 

 タックは10年前にバイターズというバンドで成功を収めたが、タック・アンド・ザ・レストレス・ハーツは幸運なスタートを切ったとは言えなかった。バンドは2020年にデフ・レパードとモトリー・クルーの前座を務める予定だったが、同年EPを出したものの、新型コロナウィルスの蔓延がそれを中止させてしまった。プロモーションもままならず、ほとんど注目されることなく数年が過ぎ、レコード会社も変わり、このたび遂にアルバムが完成した。全11曲、うち3曲は日本盤のボーナス・トラック。一曲一曲、楽しい時間以外の何ものでもない。これぞ、最近の "いいとこ取り "だよ、諸君!

 

 そのツアーが実現しなかったのは残念なことだが、それから4年ほど経った今、前の世代がガンズ・アンド・ローゼズをマーキーで観たとか、ザ・ローリング・ストーンズのオープニングを飾ったとかを語るのと同じように、誰もが2020年のツアーのオープニング・アクトについて語るようになっていたことだろう。というのも、このアルバムがどのようなものであれ、ビールを置いてバーから駆け込んでくるような、あっという間の衝撃の30分のセットだったからだ。そういうものだ。足を踏み鳴らし、ロックし、荒くれ、引き込まれ、心拍数を上げる。

 

 全体を通してプロダクションはシャープだ。ギターは噛みつき、ベースはドライブし、ドラムはガンガンと鳴り響く。タックは誘惑し、からかうようなボーカルラインを聴かせる。日本盤には8ページの英語ブックレットと16ページの日本語ブックレットが付いている。また、前述の3曲のエクストラ・トラックも収録されている。そのうちの1曲はシン・リジィのカヴァーで、フィルとその仲間たちが誇りに思うであろう演奏を披露している。見た目も映えている。クールなルックスで低めに構えたギターを振り回す彼らのアティチュードを以下のビデオでチェックしてほしい。端的に言って、もしあなたが素晴らしく、キャッチーで、ストレートなR&Rと味のあるギター・ソロが好きなら、このアルバムはあなたのためのものだ。

曲目

Ballad Of A Misspent Youth

Girls On The East Side Of Town

Ain’t For The Faint

Everybody Loves Your When You’re Dead

Shadow On The Street

Say Goodbye

Lovesick City

Forgive, But We Won’t Forget

Heartless*

Dancing In The Moonlight*

Indigo*

 

*日本盤ボーナストラック

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ALBUM
NINE SKIES
THE LIGHTMAKER

 

Self Release

 クリスティアーノ・ロナウド、マーマイト(イギリスの発酵食品)、ピザにのったパイナップルと並んで、プログレッシブ・ロックは、これらのことを知る地球上の人々の99.9%が好きか嫌いかのどちらかに分かれる。もしプログレが好きなら、好きな面、好きなバンド、嫌いなアルバムがあるだろう。私たちは皆、このような嗜好を持っている。悲しいかな、現存するすべてのサブグループとバンドの「進歩」願望を考えると、クラシック・プログレ・ファンのすべてのボックスを満たすようなアルバムが登場することはめったにない。ところが、ここにあるのだ。ありがとう、ナインスカイズ。

 

 子供の誕生と愛する人の死は、私たちが生きていく上で抱く最も大きな感情の2つである。前者はこの感情を表わすには辞書が必要なほど喜ばしいことで、一方後者は辞書ではカバーしきれないほど悲惨なことだ。ありがたいことに、音楽にはそれを表わせる可能性があり、ナイン・スカイズはギタリストのエリック・ブイエットを癌で亡くしたことを受け止め、その感情をこのアルバムに注ぎ込んだようだ。彼へのオマージュではないが、彼らの愛が伝わってくる。これは、エリックの未亡人であるキーボーディストのアンヌ=クレア・ラロのおかげでもあるが、間違いなくバンドは彼女を中心に結集し、より結束を強めている。ここで彼女らは、彼に敬意を表するだけでなく、カタルシス的に自分たちの中にあるものを解放するような、ほぼ1時間の音楽をリリースした。彼女らが意図的にそうしたのかどうかは問題ではなく、彼女らが皮肉交じりに「フログレッシヴ(蛙の成長)・ロック」と呼ぶものの素晴らしい作品である。

 

 多くの偉大なプログレ・アルバムと同様、このアルバムにもコンセプトがあり、1001回目となる最後の人生を生きるルディという人物の物語が描かれている。ルディはその間に多くの変身を遂げてきた。ナイン・スカイズは各トラックにゲスト・ミュージシャンを加え(基本的にルディの人生の1つ)、さまざまなドラマを作り出している。その結果、ソフトな演奏からダイナミックな演奏まで、ラウドな部分と静かな部分、プロダクションの光と影など、プログレ・アルバムに求められるものはすべて揃っている。これらはすべてシームレスに織り込まれているが、それぞれのキャラクターが次のキャラクターに繋がっていくことを注意深く考慮している。繰り返しになる前に変化し、次の曲に跳ばすボタンに手が伸びることもなく、最後には満足感を与えてくれる。サントル・ヴァル・ド・ロワールで上質なワインとともに地元料理を味わうようなものだ。

 

 このアルバムはナイン・スカイズの4枚目のアルバムで、これまでで最高の出来だと思う。前述したエリック・ブイエットに捧げられたもので、これ以上の形で彼の遺産を称えることはできなかっただろう。 

曲目

Intro: An Fanai 

The Explorer 

The Dreamer 

The Chaotic 

The Lost 

Interlude: The Wanderer 

The Haunted 

The Architect 

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