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LIQUID TENSION EXPERIEMNT

3

Sony Music International - 14th April

ジョン・ペトルーシ、マイク・ポートノイ、ジョーダン・ルーデス、トニー・レヴィン、もはやアルバムにおける彼らのミュージシャンシップの質の高さについては論じるまでもないだろう。では早速音楽に入ろう。

 

LTEのデビューアルバムは1998年。LTE2は翌年に届けられた。そして今に至るまでにライブアルバムが何枚かリリースされたが、LTE3が届けられたのが何とそこから23年も経ってからだったとは。待った甲斐はあったのか?もちろんだ。過去の2作と比べてどうか?当たり前に良い。むしろさらに良くなった感がある。その理由は?ただ一言、「そういうものだから」。

 

この23年の間に、すでに熟練したミュージシャンである彼らは、数え切れないほど多くのバンドで様々なジャンルの(恐らくは)200枚以上のアルバムを制作し、実験、即興、探求、創造、さらには自分自身のスキルを向上させるための特別な23年を過ごしてきた。このアルバムでは、何人かの仲間のミュージシャンが参加しているが、ほとんどのナンバーは彼らだけでの演奏だ。それがよくわかる。他のバンドのメンバーが久しぶりに集まるのに対し、危惧していたのが「リユニオン・アルバム」的な出来映えだった。こういう場合の結果は、しばしば満足のいくものにもなるのだが、通常、初期の録音のダイナミクスには到底及ばないものになりがちだ。しかし本作は違う。なぜなら、もともと永続的なバンドにするつもりはなかったので、それぞれのミュージシャンは、エゴやお金、モチベーションなどを考えずに、自分が学んできたことをそのまま持ち込んでいるからだ。

 

このアルバムを素晴らしいものにしているのは、そのアレンジだ。作品は音楽的には複雑なもので、各パートはしばしば最小限にまで削られている。しかし、全体的なアレンジ、パートの使い方、楽器の役割が耳に心地よく響くのである。例えば、ジョージ・ガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」のアレンジだ。

 

この曲は前述の2枚のライブ・アルバムでも演奏されているが、このカルテットが今回スタジオで能力を発揮したほどのダイナミクスを持ったものではなかった。光と影、高揚と沈溺。この曲への理解度は崇高なレベルに達している。 彼らの今後の録音に期待したい(LTE4がリリースされるのを23年も待たずに済みますように)。彼らはクラシック音楽を自分たちのものにすることができる不思議な能力を持っているようだ。こうした成果は、エマーソン、レイク&パーマーだけが成し遂げた偉業だと思う。

 

今回のリリースには、ボーナスディスクがある。使われなかった55分間の、だ。実際のアルバムに収録されているものには及ばないが。使わなかった理由はわかるが、なんということだろう! この人たちは我々凡人には夢にも思わないようなここまでの素材、演奏、楽曲を拒否したのかと思うととても驚かされる。とどのつまり、この作品は、パフォーマンスの良し悪しや技術的な問題ではなく、リリースする際に最高の素材を選んだということを示しているのだ。若いバンドにはこの点を肝に銘じてもらいたいし、それに気づかせたくれた彼らには脱帽することだろう。

 

このレビューの最初の方で、私は過去10年間の彼らの総合的な成果について述べた。その間のアルバムの中で、四人編成バンドのベスト・パフォーマンスを挙げるのは難しいと思う。もしメンバー全員が自己満足のテクニックのひけらかしなどせずにきちんと楽曲に貢献できた作品を推奨したいのであれば、この「Liquid Tension 3」以上のものはない。

 

Track List

Hypersonic

Beating The Odds

Liquid Evolution

The Passage Of Time

Chris & Kevin’s Amazing Odyssey

Rhapsody In Blue

Shades Of Hope

Key To The Imagination

 

Bonus Disc

Blink Of An Eye

Solid Resolution Theory

View From The Mountaintop

Your Beard Is Good

Ya Mon

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THE PRETTY RECKLESS - CD

DEATH BY ROCK AND ROLL

Sony Music International - Out now

2010年に始まった、プリティ・レックレスのシリーズリリースの4作目に当たるのが本作。前作のリリースから5年ぶりとなる。1曲1曲にこれほど違いがあるのも最近では珍しい。だがどの曲も聴いていてスキップさせようとは思わせないのだ。捨て曲なしで、ここまでバラエティに富んだ楽曲を収めたとは、まるで古き良き時代に戻ったかのような感覚だ。

 

タイトルチューンはたまたまだが、その出来映えにおいてこのアルバムで私の一番好きな曲だ。明らかにオープニングに相応しい曲で、陳腐な出来でない限り商業的には最も重要なものである。それはアメリカのロックチャートのトップ10に入るヒット曲然としたもので、これがあるからこそアルバムが完全なものとなり、前述したバラエティに富んだアルバムの最も重要な部分を占めるというものだ。1曲ずつ聴いていくと、バンドのいろいろな個性がいろいろな場面で現れてくる。そしてそれらが見事に調和している。恐らくこのことには気づかないまま、もう楽曲は「25」まで来ていることだろう。ロックンロールとジョン・バリーの最高のジェームス・ボンドのテーマをミックスしたようなこの作品は、メインのリフに戻る前に見事なミドルエイト部に収録されたテイラー・モンセンのボーカルで緊張感を醸し出す。この後、アルバムはゆったりした「Got So High」、「Broomsticks」という気まぐれな高速ナンバー、メタルの名曲たる(ギターソロが凄い)「Witches Burn 」で完全に開花する。そしてシンプルで明るい流れるようなアコースティックナンバー2曲で幕を閉じる。このうちの1曲はジョン・ボン・ジョビが書きたかったようなナンバーで、もう1曲はニール・ヤングが書きたかったようなナンバーに思える。

 

このアルバムには最高の瞬間がいくつもある。ベン・フィリップスによる前述したような素晴らしいギタープレイ(「Harley Darling」における彼のソロは信じられないほど味わい深い)、ドラムのジェイミー・パーキンス、ベースのマーク・デイモンから成るリズムセクションが決定的だ。彼ら二人にとってはやり過ぎようが手を抜こうがたやすいことだろうが、彼らは真摯に自らの役割をこなしている。だから、認めるべき功績は当然認めよう。この作品は、テイラーのこれまでで最高のボーカル・パフォーマンスと言えるが、バンド全体のポテンシャルがよく表れていると思う。

 

もっと魅力を、って?日本盤ではBS2CDマスタリングが採用されている上に、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロとキム・セイル、サウンドガーデンのマット・キャメロンがゲスト参加している。この作品は、記憶を刷り込み、記憶を呼び覚ましてくれるような音楽だ。買えば、君のCDラックにこれからずっと収まり続け、向こう何十年もバーベキューパーティや友人と過ごす夕べなど、事あるたびに持ち出されることだろう。そして2021年いう年を思い出すアルバムになるのだ。

Track List

Death By Rock And Roll

Only Love Can Save Me Now

And So It Went

25

My Bones

Got So High

Broomsticks

Witches Burn

Standing At The Wall

Turning Gold

Roan And Roll Heaven

Harley Darling