BOBBY CALDWELL

TOKYO BILLBOARD

22nd September 2019 1st show

ボビー・コールドウェル

ビルボード東京

2019年8月24日 ファーストショー

 

ボビ-・コールドウェル / Bobby Caldwell (v,k,g)
マーク・マクミレン / Mark McMillen (k,bv)
アンドリュー・ニュー / Andrew Neu (Sax, bv)
カーライル・バリトウ / Carlyle Barriteau (g,bv)
ロベルト・バリー / Roberto Vally (b,bv)
トニー・ムーア / Tony Moore (d)

 

一般に日本では「ミスター・AOR」と異名をとるボビー・コールドウェルは、この国でのそれゆえの知名度にずっと耐えてきたと思う。私自身もその評価にまったく納得していない。確かに彼は優秀なシンガーソングライターであり、プラチナディスク、ゴールドディスクを獲得するほど日本では知られている。しかしそれは35年も前の評価である。私は彼のステージを観たことはなかった。コンサート会場へ向う道すがら、私は今宵彼のファンがその評価を持ち続けることになるのか、そして今なお彼が東京での6回のショーと大阪での2回のショーのチケットをソールドアウトにしてしまった魅力を見極める気持ちになっていた。彼は今年二度も日本でコンサートを行なうのである。

 

座席に就き、周りの客を見渡してみた。予想していたとおり、大半が中年のご婦人だった。しかしボビーには男性ファンも多いはずである。誰もがにこにこと笑みを湛えている。照明が落ち、バンドがスタンバイした。そして演奏を開始した。1978年リリースのボビーのデビューアルバムの1曲目に入っていた「Special To Me」だった。するとすぐに私はこの会場では門外漢のような気になってしまった。一人で観に来ているお客さんがみんな音楽に合わせて体を揺すり、一緒に歌い始めたからだ。もちろん私もこの曲は知り抜いているが、自分で歌う気にはならなかったし、ボビーのライブでこのような雰囲気になるとは思ってもみなかった。突然私はこのファンの熱狂的な支持、日本で絶えることなく彼のコンサートが行われることの答えを得た。この男はいつも最高の演奏を披露してきたからである。

 

最初に抱いていた疑問の答えが見つかると、私は座席でくつろぎ、ショーに集中した。彼のショーは瞬く間に私をも魅了した。私が足を踏み鳴らし、歌詞を口ずさみ始めるまでにそれほど時間はかからなかった。彼は次々曲を演奏しながら懐かしい想いに浸らせてくれ、喜ばせてくれた。彼のバンドも素晴らしかった。どの曲も演奏は完璧で、メンバーは各々の持ち分を理解し、それに最大限に努めて音楽を引き立たせていた。普段私はコンサートでは個々のプレイに注目することはあまりない。個々のメンバーが作り出す音楽そのものを楽しむためだ。しかしアンドリュー・ニューが客席を練り歩きながら披露した2分間のサックスソロに触れないわけにはいかないだろう。45年間に亘る私のコンサート体験において、まさに最高の瞬間だったと言っていい。

 

アンコールの「At Last」では私は涙を流す羽目になった。子供の頃からの私の気に入りのナンバーだったからだ。ボビーとバンドの演奏はまさに正当なものだった。この演奏はグレン・ミラーや偉大なるエッタ・ジェイムスのバージョンに匹敵する素晴らしさだった。彼らがステージを去り、照明が灯った。私の隣の席の婦人が、ステージの感激も覚めやらぬ私の目を見て話し掛けてきた。「彼のコンサートは初めて?」「はい。」と私が答えると、彼女は「どうでした?」と微笑みながら言った。「私は300回以上観ているのよ。」

 

これぞアーティストへの忠誠心というものだろう。一人のアーティストを300回以上も観ることができるかどうか、私には自信がない。しかしこれだけは言える。またボビーが戻ってくるなら、私もまたそこにいるだろう、と。

 

セットリスト

Special To Me

Stay With Me

All Or Nothing At All

Heart Of Mine

Words

Loving You

Miami Nights

What You Won’t Do For Love

Carrie Anne (You’ll Never Know)

Encore

At Last

MORGAN FISHER

MORGAN'S SALON, TOKYO

30th November 2019

モーガン・フィッシャー 

モーガンズ・サロン、東京

2019年11月30日

デビュー50周年感謝:モット・ザ・フープル・コンサート

 

1970年代のイギリスで育った私にとって、グラムロック時代のナンバーワン・バンドはモット・ザ・フープルだった。そう言うと、このレビューはライター目線からのみならず、大ファンとしての感情も入っていることを承知してもらえるだろうか(私は2009年の再結成コンサートをイギリスまで観に行っている)。極力ニュートラルな批評に努めるつもりだが、多少の贔屓目はご容赦願いたい。そう言うのには、このコンサートには特別な要素があったからなのだ。モーガンの自宅兼ライブ会場であるモーガンズ・サロンを初めて訪れたロックファンにとっては、とてもくつろぎ楽しめる場所だったのだ。

 

会場は新宿のネオン街から徒歩10分の所、代田橋にぽつんと立っている。純日本風の建物ではあるものの、変わった古いイタリア風の装飾が施されたビルにはいくつかの店、レストラン、バーなどが入っていて、およそライブが行なわれるような場所には思えない。分かりやすい小道を下っていくと、会場に着く。靴を脱いで入ると温かく出迎えてくれ、モーガンのスタジオでもある部屋に案内してくれた。40の座席と共に年代物の機材が飾られている。雰囲気はとてもアットホームでくつろげる感じだ。席に座り、他のお客とたわいないおしゃべりをしていると、突然カズーの音色が響き渡った。そして本日の主役が満面の笑みを湛えて部屋に入って来た。我々を快く迎えてくれているのが分かり、既にスタンバイOKのようだ。こちらも準備OK。

 

モーガンはデジタルの前時代の機材の合間に腰掛け、機材について説明してくれた。1970年代初期のドラムマシーン「リズムキング」や機材の一部はスライ・ストーンがアルバム『Family Affair』で使用したお気に入りのものだったそうだ。オープニングナンバーのためにプログラムする(ボタンを押して、スピード<テンポ>を設定する)と、モット時代のお気に入りナンバーを立て続けに演奏し始めた。機材の設定を変えながら、歌い、プレイした。彼のボーカルはなかなかのもので、プレイに関しては文句なし。時折設定が間違ったりしたが、動じることはなかった。その修正のために演奏を止め、修正の間、ウケるギャグを連発していた。こんな具合で楽しいステージが進行していった。リズムキングはキャパに限界があるものだったが、モーガンは旧友を労わるように修理を重ねてきている。モットの名曲「Golden Age of Rock ‘n’ Roll」のシャッフル・ビートが流れ出すと、会場は大盛り上がり。今宵のハイライトとなった。今宵のセットは二部構成になっており、馴染みの薄いナンバーも含みフープルのアルバムの「サイド1」、「サイド2」と命名されていた(両方で我々はモットのライブ盤を完全に鑑賞したことになる)。ステージの背面には、70年代当時のロック雑誌の切り抜き記事がスライドショー形式で投影されていた。モーガンはステージの合間にはホストとして、お客にヒアフォートサイダー、紅茶、ポテトチップを振舞った。休憩が終了すると、再びステージに戻った。第二部終了後には、玄関口で我々を見送ってくれた。

 

こんな夜が楽しめないはずがない。モーガンは異なるテーマで毎月こうしたコンサートを開催している。是非足を運んでいただきたいと思う。あなたの目の前で伝説のロックミュージシャンが演奏してくれる、しかも彼の自宅でなんて、ここ以外他に世界の何処で考えられるだろうか?勿体無い話だ。

 

www.morgan-fisher.com

 

1st Set

Saturday Gigs

Lounge Lizard
All The Way From Memphis
I Wish I Was Your Mother

THE HOOPLE SIDE A:
The Golden Age Of Rock 'N' Roll

Marionette

Alice

Crash Street Kidds

2nd Set

Rest in Peace

Sweet Jane

Honaloochie Boogie

THE HOOPLE SIDE B:

Born Late ‘58

Trudi's Song

Pearl 'N' Roy (England)

Through The Looking Glass

Roll Away The Stone

Encore

All The Young Dudes