ELO - CD 

SECRET MESSAGES

Sony Music Japan - Out now

リリース35周年記念再発盤

ELOのファンはこの、オリジナル録音時の形どおりに新たに編集拡大されたバージョンのリリースを待望していた。恥ずべきことに、レコード会社によって1983年に2枚組のボリュームから1枚もののアルバムに縮小してリリースされた『Secret Messages』は、シングルアルバムのようには聞こえなかったのだ。A面は十分成立しているものの、B面はちょっと聴いた限りでは残った3面分からヒットしそうなナンバーだけを抜き出してきたように感じられたのである。続いてリリースされたCDは何曲かを追加収録しただけのもので、より事態を悪化させた。この間違ったやり方で多くのファンはもうアルバムの全貌を知ることはできないものだと諦めてしまったのだった。ありがたいことに、ここにきて常識が打ち勝ち、本来の形での初めてのリリースが実現したのである。素晴らしいことだ。

 

内容に入る前に一つはっきりさせていただきたいのだが、『Secret Messages』のオリジナルマスターテープには18曲が収録されていたのだが、今回のアルバムには17曲しか収録されていない。未収録のナンバーのタイトルは「Beatles Forever」で、B面の位置に「No Way Out」の後に収録されるはずだった曲だ。しかしシングルアルバムがリリースされてから、ジェフ・リンはこの曲をボツにすることに決め、ELOの作品集からこの曲を削除したのだった。そのため今日まで未発表のままで、今後もそれは変わらないだろう。私はこの曲を聴いたことがあるが、ELOとしての作品レベルには達していない上に、『Secret Messages』に収録するにはあまりにも稚拙なサウンドだったのである。

 

私はほとんどの曲を以前から聴いていたのだが、今回のリリースバージョンを事のほか楽しめたことは驚きだった。本来の正しい曲順は作品への理解度を高めた上に、作品をセンスアップさせたと思う。例えば「Train Of Gold」は「Letter From Spain」ではなく、「Four Little Diamonds」の後に収録されている。以前の曲順はアルバムの流れを滞らせていたのに対し、今回の曲順で流れがスムーズになっているのだ。それはアルバム全体にも言えることで、より楽しめる結果となっている。レコードラベルの表記が間違っていたため、ジェフ・リンは1983年に戻って訂正している(「Beatles Forever」を除く)。

 

もちろん現在ではテクノロジーが発達したため、より良い形で再プロデュースができる。BSCD2 方式のマスタリングにより、深みと厚みが叶えられた。前面に出てきたり、奥に引っ込むストリングスも、散りばめられた懐かしいシンセサウンドも、リバーブの効いたボーカル、ロックするギターも、すべてが一役買っているのだ。ジュークボックス向きの「Rock ‘n’ Roll Is King」がスピーカーから流れ出してくれば、あなたは昔愛用していたブローセル・クリーパーズとドレープコートを引っ張り出してきたくなるかもしれない。アルバムジャケットはシングルアルバムのものを踏襲しているが、ゲートフォールド型に拡大され、拡大面にはジェフ・リンのライナーノートが記されている。日本盤には24ページの解説ブックレットが付いている。たまたまELOを知った人も含め、すべてのファンにとってこのリリースは価値あるものだ。

Track list

Secret Messages

Loser Gone Wild

Bluebird

Take Me On And On

Stranger

No Way Out

Letter From Spain

Danger Ahead

Four Little Diamonds

Train Of Gold

Endless Lies

Buildings Have Eyes

Rock ‘n’ Roll Is King

Mandalay

Time After Time

After All

Hello My Old Friend

THE SYNTH LORD

THE SYNTH AS SOUL

Independent Release - Out now

レビューに入る前にお伝えしておきたいことがある。私の下には数多のインディーズ系CDが送られてくる。それらのレビューを求められるのだが、そのうちの99%は諸事情により丁重にお断りをしている。しかし時にはあまりに優れたものについてはレビューせざるを得ない場合もあるのだ。さて前置きはここまでとして、かつてのロック黄金期を彷彿させつつも、新生面を提示するような音楽に触れたのはいつのことだっただろう?オリジナリティに富みつつも、どこか懐かしい興奮を伝えてくれるもの。既存のジャンルなのに、新しさを感じさせるもの。そんな音楽はいつ以来のことだろうか?さあ、シンス・ロードの世界へようこそ。

 

よく考えられたバンド名で、この作品は、シンセサイザー、ドラムマシーン、サウンド・エフェクトの塊のような音楽である。他にどんな楽器が使われているのかは、ちょっと聴いただけでは分からないくらいだ(できればイヤフォンではなく、ヘッドフォンで聴いてほしい)。音の万華鏡とも表現できるもので、美しいサウンドが左右、前後にパンされて幾層にも重なって溢れ出してくるのだ。この音楽を一言で伝えようとすれば、まさにこういうサウンドとしか言いようがない。オープニングナンバーを20秒間聴いただけで、このサウンドを理解しようと、脳みそはぐちゃぐちゃになってしまうだろうし、40秒間聴いてしまうと何が何だか分からなくなってしまう。2曲目はメタルぽいギターとドラムが勢いのあるシーケンサー(本当に凄い)に乗って迫ってくる。そこから、もう何年も聴いたことがなかったような、ポップスの極致とも言える崇高なサビへと突入するのだ。詞の面でもメロディの面でも完璧、これを以って「ナンバーワンヒット」と言わねば、何を以って言うべきかというものだ。アルバムではこの曲だけが優れているわけではない。アルバム全曲が珠玉の作品で、最初から最後まで耳を奪われ続けるだろう。

 

私が一人よがりで激賞していると思うなら、1曲ずつ聴いていってみてほしい。よほど耳と感性が鈍くない限り、このアルバムを正しく評価してもらえると思う。しつこいようだが、全曲ともよく練られており、決して音を詰め込み過ぎてはいない。メロディは美しく、プロデュースも的確だ。かつてのロック黄金時代のサウンドのようでもあり、現代のテクノ時代のひねりも利いている。現代のレコーディングでは音量の変化をつけることはめったになく、大音量は歪ませ、重低音を利かすこともない。しかしこのアルバムを再生するや、その迫力には圧倒される。耳を聾するような大音量でも音は鮮明なのだ。この音を聞いた隣人でさえ気に入ったほどである。

 

私の友人はこの音楽を「シンス・ポップ・ロック」と表現し、そんなジャンルが将来確立されるのではないかと評した。ヒューマン・リーグとハワード・ジョーンズとゲイリー・ニューマンがUSSエンタープライズ号の中で演奏しているみたい?レディ・ガガがとことんいっちゃったレベル?2050年に出現したデヴィッド・ボウイのようなサウンド、かもしれない。

 

 

Track List

Sacrifice

I Am Not The One You Want

Scared

Fame And Fortune

Tonight

Consecrated

We Are Not Alone

Telephone

Paradise

The End Of Times