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SONS OF APOLLO - CD

MMXX

Sony Music Japan - 発売中

2017年にリリースされたサンズ・オブ・アポロのデビューアルバム『Psychotic Symphony』は、一服の清涼剤だった。際立った才能を持った5人のミュージシャンが楽曲を優先し、利己主義やエゴを捨ててレコーディングのために結集した。そしてその代償として生まれたのは、ここ10年間で最高の出来映えを誇るデビューアルバムだったのである。彼らはそれに続き画期的なセカンドアルバム『Live with the Plovdiv Psychotic Symphony』を昨年リリースした。このアルバムは、彼らなりの見事な解釈を施したロッククラシックとデビューアルバムに収録されていた楽曲の交響曲風バージョンとが結合した内容だった。私は以前、デビューアルバムがあまりに成功した場合、セカンドアルバムの制作はかなり困難を極めるものだと書いた。さて、セカンドアルバムはデビューアルバムに比べて見劣りしないものになったのだろうか?

 

素晴らしいものだった。実際にこのアルバムはあらゆる点でデビューアルバムの第二弾というもので、同様に素晴らしい出来映えなのである。言うまでもなく、楽曲のオリジナリティは素晴らしく、バンドの演奏力も最高だ。個人的にはどの曲をシングルリリースすればいいかを迷ってしまうほどである。アルバム全体が個の曲の単なる集合ではないのだ。但し、一つ言えるのは、「King Of Delusion」はその中でもメンバーの能力を最大限に引き出した、特に際立った曲ということだ。キーボードのデレク・シェリニアンとドラムのマイク・ポートノイが担うプロデュースコンビは、デビューアルバムと同様の魅力をキープさせることに成功している。2枚のアルバムをマルチディスクプレーヤーにセットし、ランダム再生したとすれば、どの曲がどちらのアルバムに収録されているのか、分からないだろうと思う。バンブルフットのソロはそれほど度肝を抜くものではないが、彼のリズムプレイは完璧にキーボードと調和を保っている(特筆すべきパートがあり、デレク・シェリニアンの素晴らしいソロが聴ける)。マイク・ポートノイと世界一のベーシストと称されるビリー・シーンがビートを支え、展開を司るのみならず、彼らなりの彩りを各曲に与えている。もちろんジェフ・スコット・ソトのボーカルも年々上手くなっている。アルバムは、プログレ・メタルの中でも最も素晴らしく、調和の取れた6パートに分かれた楽曲で頂点に達する。これは今までどの評論家も聴いたことがないものだ。ここにサンズ・オブ・アポロの限りない創造性が象徴されている。

 

このアルバムのリリースに際しては、ソニーがBSCD2方式のマスタリングを採用し、重厚で明るくパワフルなサウンドプロダクションを実現し、魅惑的なパッケージも製作した。まずは全8曲のインストゥルメンタル・ミックスで構成されたボーナスディスクがセットされている。そうこれが凄い!それのみならず、全8曲のアカペラ抜粋バージョンも収録されているのだ(アルバムの収録時間は60分に達しないが、クオリティはまったく落ちていない)。2枚のディスクは頑丈なデジパックに収められている。また36ページのカラーブックレットが中央に綴じ込まれ、日本盤にはさらに12ページの日本語ブックレットもセットされている。

 

要約しよう。プログレ・メタルはもはや過去のもので複雑過ぎたと言われるが、サンズ・オブ・アポロはあなたの知らなかった世界を拓いてくれるに違いない。プログレ・メタルに触れたいと思うなら、まずはこのアルバムをお薦めしたい。

 

Track List

Disc 1

Goodbye Divinity

Wither To Black

Asphyxiation

Desolate July

King Of Delusion

Fall To Ascend

Resurrection Day

New World Today

  • Ascension

  • New World Today

  • Blind Tomorrow

  • Adventures in Bumbleland

  • Day Of The Dead

  • The New Reveal

Disc 2

上記のインストバージョンと上記のアカペラ抜粋

OZZY OSBOURNE - CD

オーディナリー・マン 

Sony Music Japan - 発売中

オジーが最後のスタジオアルバムをリリースしてからもう10年も経ったのか?『Scream』は2010年6月にリリースされた。その4ヶ月前には iPad が世の中にお目見えし、当時の日本の総理大臣は鳩山由紀夫だった。まだウィキペディアはネット上には現われておらず、原子力も安全だと思われていた時代だ。あの2011年3月はその9ヶ月後のことである。この頃にはオジーはツアーをし、ライブアルバムをリリースしていた。しかしその後彼には健康上の問題が発生し、現在はパーキンソン病と闘っている状況だ。我々は彼の快復を願っているし、彼を愛している。しかし71歳という年齢と病気のことを考えると、本作『Prince of Darkness』が最後のアルバムになってしまうかもしれない。そうならないことを祈るばかりだが。

 

ボーカルコーラスからアルバムは幕を開け、すぐに跳ねるギターリフが続き、オジーの「All right now!」という掛け声が発せられると、我々は慣れ親しんだ心地良い海に身を浸すことができるのだ。アルバムは彼を慕って集まった友人ミュージシャンたちの協力の下

、数々のハイライトを含む優れた楽曲で構成されている。オジーは随所で不気味なムードを演出し、「Goodbye」に象徴されるようなボーカリストとして最高のテクニックを披露している。「Under The Graveyard」でも演出する冷酷さが見事だ。彼の声は、「俺たちはみんな死ぬ時は一人ぼっちなんだ」というリアリティを表現しているようだ。彼の声も健在だし、畳み掛けるギターリフも健在だ。オジーらしい楽曲も揃っており、我々がオジーに対して期待したすべてのものがここにあると言ってよい。しかしいつものオジーと何かが違う・・・そう、その違いはオーバープロデュースによるものだ。

 

プロデュースはアンドリュー・ワットで、有能なプロデューサーなのだが、彼はジャスティン・ビーバー、ラナ・デル・レイやポスト・マローンなどを手掛ける方がはまっていると思える。そのマローンは本作で2曲にゲスト参加している。ワット自身も本作ではほとんどの曲でギターをプレイしている。プレイヤーとしては有能だが、ザック・ワイルドのような切れ味は彼にはない。またオートチューンをオジーの声にかけているが(ゲストのエルトン・ジョンの声にも)、それはアルバムの印象を鈍いものにしている意味で逆効果になっている。確かにオジーはこれまでにも自分の声にエフェクトをかけてきたが、私はそれを責めているのではない。本作ではそれが過剰だと思うのだ。我々はオジーのワイルドなヴォーカルが好きなのに、このプロデューサーはそれを理解していないようだ。このアルバム自体は楽しめるのだが、より洗練されたレコーディングが行なわれたことで、それでかえってオジーの危険な薫りがきちんと捉えられていないことが頭から離れない。

 

聴き込めば聴き込むほど、あなたもこの思いを強くすることだろうと思う。しかし紛れもなくここにオジーは、いる。それでいいだろう。ソニーはBSCD2マスタリングを行い、深みのあるサウンドを実現している。16ページ建ての英語&日本語それぞれのブックレットが付いている。そして特別な「Darkside Blues」というボーナストラックが収録されている。これらがすべてムードたっぷりのデジパックに収納されているのだ。

 

Track List

Straight To Hell

All My Life

Goodbye

Ordinary Man (featuring Elton John)

Under The Graveyard

Eat Me

Today Is The End

Scary Little Green Men

Holy For Tonight

It’s A Rain (featuring Post Malone)

Take What You want (featuring Post Malone and Travis Scott)

 

Bonus Track for Japan

Darkside Blues