GRAHAM BONNET: 

A CHAT ABOUT THE BEATLES    

December 2015

グレン・ウィリアムス(以下GW):これが第1回になります。ビートルズに関する文献では、あなたはスケッグネスのバトリンズで14歳の時に‘ロリー・ストーム&ザ・ハリケーンズ’で歌っていたとありますが、それは本当ですか?

グラハム・ボネット(以下GB):僕んちの隣に住んでいた奴がスケッグネスのバトリンズで働いていたんだ。ウェイターかなにかやってたんじゃないかな。で、そいつが言ったんだよ。「リチャード・スターキーというビートニク風のかっこいい奴と会ったんだ。彼はロリー・ストーム&ザ・ハリケーンズでプレイしているんだ。彼がボーカリストを探しているそうなんだ。俺はおまえがボーカルをやってるって知ってるよ。毎日聞こえてくるからね。どうだい?興味あるかい?」ってね。「もちろんさ。」って言ったよ。「そんな本格的なバンドで歌えるなんて凄いね。」とも言った。それで彼がリッチー(後のリンゴ)に話してくれたんだけど、リンゴは僕がまだ幼すぎると言ったんだ。バンドでやるには飲酒ができる年齢になっていなきゃならなかったから。だから子供は雇えなかったんだ。15歳になってりゃ、酒を販売する場所で歌うことができたんだ。でも14歳だったからだめだった。未来のビートルに会えるチャンスだったのにね。何年かしてから、リンゴには会えたけどね。

GW:まさにその頃、リンゴがスケッグネスでロリー・ストーム&ザ・ハリケーンズでプレイしていて、ジョンとポールがバンドに誘ったんですよね。あなたはちょうどそこに居合わせたタイミングだったんですね。

GB:そうだね。ビートルズの「アンソロジー・ブック」は読んだ?

 

GW:ええ。

GB:あの本に、リンゴがボールルームの外で写っている写真があるんだ。今はもうないけど、バトリンズのカリプソ・ボールルームという所だ。僕はその数年後には、あそこによく出演したんだよ。大きな会場だった。

 

GW:ロリー・ストームのバンドのギタリストだったジョニー・ギターが、ジョンとポールがリンゴをスカウトするためにスケッグネスを訪れた時の話をしているんですが、リバプールからスケッグネスまで車で大変な目をしてやって来たそうなんです。

GB:そうなの?それは聞いたことないね。初耳だ。まあ、いろいろな話がいろいろな所から出てくるものだけどね。たぶんその話は本当だろうね。現実味があるよ。

 

GW:ビートルズがブレイクした時、あなたはティーンエイジャーでしたよね。どんな感じでした?

GB:学校の校庭で、友だちに言ったのを憶えているよ。「ビートルズというバンドの写真を見たことあるかい?変な格好しているんだよ。」って。なぜあんな格好をしていたのか、意味が分からなかったんだ。でも後にそれが彼らの髪型であり、ルックスなんだと分かった。ドイツの学生みたいな格好だった。当時のビートニクみたいな、ね。でも彼らはそれとも違っていたんだ。特別ハンサムでもなかったしね。僕らはクリフ・リチャード&ザ・シャドウズやビリー・フューリーのような男前を見ていたから、ビートルズはちょっと野暮ったく見えたんだ。ビルの中で写した彼らの最初の写真を見たら、僕の言うことが分かってもらえると思うよ。「Love Me Do」が出た時も、何とも思わなかったんだ。でも僕の兄貴のトニーがすごく気に入ってた。兄貴にはいい曲だとは言ったけど、バディ・ホリーの方が良かった。でも「Please Please Me」が出た時は違ったね。友だちに言ったよ。「<Please Please Me>を聴いたかい?」って。一緒に歌ったりしたよ。みんな「いいじゃないか!」って思ったんだ。それ以来、ビートルズの大ファンになったよ。その頃にギターも弾き始めたんだ。

 

GW:彼らの前例のない大成功の要因はなんだったと思いますか?

GB:まず、それほどハンサムじゃなかったってことかな。よく見れば、そこら辺の若者と変わらなかったんだ。でも一旦気に入れば、どんどん好きになるし、好きになればなるほど、ハンサムに見えてきたんだよね。ちょっと野暮ったいところもある労働者階級のバンドだったしね。僕がガキの頃、労働者の集まるクラブで彼らを観たよ。何でもストレートに発言していて、親近感があったし、誰もが彼らの歌に親しんだ。彼らの声も当初は洗練されてはいなかったけど、どんどん洗練されていったものね。彼らはバディ・ホリー、エルヴィス、リトル・リチャードのいいところを併せ持っていた。だから人気が出たんだ。エルヴィスやクリフのようなスター気取りもしないし、すごく正直な感じだった。「うちに来て、パパとママに会ってくれない?」とでも頼めそうな気軽さがあったんだ。普通の若者だったんだよ。僕の両親が「グラハムほど上手くないな。でもなかなかいいじゃないか!」って言ってたのを憶えているよ。彼らの音楽には何かがあったんだ。ロックもフォークの要素もあってね。彼らの出身はペニー・レインとか、そういう所だったからね。彼らはすごく現実的なことを歌にしていたんだ。

 

GW:リバプール訛りが歌にも出ていましたよね?

GB:ああ。クリフの真似をしようなんて思っていなかったんだ。あの訛りのまま、ずっと最後まで通したよね。

 

GW:ジョージがかつて言っていたんですが、5人目のビートルがいた、と。ジョージ・マーティン、ブライアン・エプスタイン、ニール・アスピノール、ピート・ベストなどなど。僕には彼らは4人だけであって、その他の人は「半人力」だったように思うんです。でも明らかに貢献はしていました。どう思います?

GB:僕は、ジョージ・マーティンが5人目のビートルだったと思うね。アレンジを担当して、彼らの音楽を変革して、彼らにアイデアを与えていた人だよ。「Please Please Me」の話は知っているだろう?オリジナルとは違ってたという。

 

GW:ええ。もっとスローでブルージーな感じだったんですよね。

GB:そうなんだ。ジョージ・マーティンが、「だめだ、だめだ、もっと売れ線にしなきゃ。」って言ったんだよね。それで大ヒットした。あれがあの曲の生命線だったんだ。僕はいつも彼が5人目のビートルだと思っていたんだけど、後に他のミュージシャンがレコードでギターを弾いていたのにがっかりしたことがあったよ。エリック・クラプトンが弾いたとか、リンゴがドラムを叩かず、ポールが叩いたとか。でも5人目のビートルはジョージ・マーティンで決まりだよ。バンドにあれほど大きな影響を与え、音楽的に導いたんだからね。

 

GW:彼らのライブを観たことはありましたか?あなたはまだ幼すぎて、観てなかったのではないかと思うんですが。スケッグネスでは公演していませんし。

GB:ああ、来ていないね。初めて彼らを観たのは、ロンドン・パラディアムでの「サンデー・ナイト」だった(1963年10月13日)。もう、時間が止まったよ。当時、ホテルでウェイターと掃除係をして働いていたんだけど、仕事するのを忘れたほどだった。夜には掃除をするんだけど、ビートルズの登場をひたすら待って、テレビにかじりついていた。もう時間がそこで止まっていたんだよ!「何て凄いサウンドなんだ、凄いぞ。」って思っていたよ。もう大好きだった。彼らは期待どおりだったし、僕の人生で最高の出来事だったんだ。信じられないエネルギーを感じたね。もう全身で歌っていたよ。

 

GW:翌日の新聞には、当然のように「ビートルマニア」が記事になりましたね。

GB:ああ、憶えているよ!「She Loves You Yeah! Yeah! Yeah!」って載ってた。デイリー・ミラーもザ・サンも凄い見出しだった。酷いサウンドの音楽だ、って言ってたね。彼らは2つの意味を持つ言葉を繋げていた。「Please please me」という具合にね。彼らは自分たちへの酷評を知っていたけど、とんでもない出来事だったんだ。パラディアムのショーにビートルズ旋風が巻き起こったんだからね。

 

GW:あなたは思春期の少年だったでしょう?そういう2つの意味は理解できましたか?

GB:ビング・クロスビーの歌にあったんだ。「Please」はね。「♪オー、プリーズ。ちょっと耳を貸して。僕のお願い(Pleas)を聞いてほしいんだ・・・」。2つの違う「Please」が入っていたんだ。「Please」と「Pleas」。でも「Please Please Me」には参ったね。

 

GW:「Day Tripper」もそうですね。この前、来日した時には、セカンド・コーラスで・・・

GB:ああ、そのことは知っているよ!

 

GW:ええ。セカンド・ヴァースで元のワイルドな歌詞を歌ったんです。「彼女はほんとにじらし屋なんだ」ってね。

GB:ああ。それがオリジナルなんだよね。でも彼らはBBCに出演した時には変えなきゃならなかったんだ。納得いかないことだよね。

 

GW:シンシアは、「Norwegian Wood」がジョンの浮気の話だとは知らなかったみたいなんです。

GB:ほんと?僕は実際にジョンが家で何かを燃やしたんだと思っていたよ。分からないけど。ジョンが家に帰るたびに、シンシアの前では自分はちっぽけな男だと思っていたみたいなんだな。ふて腐れて風呂で寝入ってしまうような。だから家を燃やしてやろうという気にもなったらしいよ。どのくらい家が燃えたのかは分からないけど、そう感じ取れる詞だよね。

 

GW:当時の噂でしょ?公にはそんなことが言えなかった時代の。 僕なんて、ベニー・ヒル(イギリスのコメディアン)が本当にみすぼらしい生活をしているのかと思ってましたよ!

GB:そうだね。本当のことかどうかは分からない。でもよくできた話だよね。

 

GW:「サージェント・ペパー」が彼らのピークだったとよく言われていますが、あなたはどう思います?

GB:違うね。僕はいつも彼らに新しくて新鮮なもので音楽界を変革してくれることを期待していたんだ。彼らのレコードは、すべてが時代を変え、他のバンドの追随を許さなかった。彼らだけの新しい創作物だったんだ。最後に『Let It Be』が出た時にはがっかりしたよ。あれは彼らのレコードの中では最悪の作品だと思ったから。

 

GW:フィル・スペクターが作ったんですものね。

GB:そうなんだ。心がこもってなくて、完全にオーバー・プロデュースだ、ジョージ・マーティンがそう言っていたよ。彼は「僕がプロデューサーだ。フィルはやり過ぎたね。」って。分厚いコーラス隊とかを入れただろう?あれはビートルズじゃないよ。「The Long And Widing Road」なんて、セッションマンに囲まれたビートルズって感じだった。レコーディングはいいとしても、僕にはビートルズの作品のようには思えないんだ。ポールがコーラス隊とオーケストラをバックに歌うなんてね。

 

GW:同感です。この前話したのですが、「Be My Baby」がスペクターのピークだったんでしょうかね?

GB:ああ、ライチャス・ブラザーズもそうだけどね。

 

GW:ああ・・・なるほど。

GB:フィル・スペクターのアイデアは素晴らしかったんだ。でもビートルズを手掛けちゃいけなかったな。ジョンが彼を連れて来たんだっけ?

 

GW:そうですね。

GB:ポールは彼とはうまく折り合わなかったよね。ジョンは彼を連れて来ることで、これまでとは違ったサウンドになると思ったんだろう。でもやり過ぎたね。『Let It Be』には、ほんとにがっかりしたよ。

 

GW:僕が一番聴く回数が少なかったレコードですよ。

GB:僕もだ。初期のアルバムを含め、他は良かったんだけどね。

 

GW:僕は『Abbey Road』を一番よく聴きましたね。

GB:僕もだよ。

 

GW:A面最後の「She’s So Heavy」の切れる所なんて絶妙ですよね。

GB:ああ、テープを使い切ったんじゃないかな!終盤の重いリフが強力だよね。まるでヘヴィメタルみたいだ。かっこいいよ。彼らもジャムりながら、「いいぞ、テープが尽きるまでやっちゃえ」と思ったんじゃないかな。

 

GW:『ホワイト・アルバム』は1枚ものにすべきだったとよく言われますよね?ポールはどっちでもいい、とあまり関心がないようですが。ジョージ・マーティンがたぶん1枚ものにすべきだったと言ったんです。僕もそう思いますが、あなたはどう思います?

GB:おいおい、冗談はやめてくれよ。あれは僕が一番好きなアルバムなんだぜ。ちょっとした曲も含めて、すべてがいいんだよ。実にうまく「フランケンシュタイン」をこしらえたものだと思うよ。いろいろなテイストの曲を合わせてね。僕が思うに、最も実験的なアルバムじゃないかな。ただただ美しい!よくできていると思うよ。

 

GW:あの当時、ヨーコが絡んでますよね。彼女は魔女のように、そこかしこに現われましたが、その値打ちはあったと思いますか?

GB:いや、何の値打ちもないよ。混ぜくり返しているだけだ。当時の女性ファンは、おめかししてバンドの前に現われたがったという下衆な話があるよ。女性ファンたちはヨーコを憎み、彼らが解散したことも彼女のせいだと言ったんだ。ヨーコのせいで、ジョンはちょっと違う方向に行ってしまったよね。いつも彼女とつるんで、バンドの一員ではなくなったように振る舞っていた。でも僕は彼女のせいで解散したとは思わないけどね。もう全員が疲れてしまったんだと思うんだ。彼らは十分成熟していたし、他のバンドにありがちな、メンバーそれぞれが違った音楽的なアイデアもあっただろうしね。もうお互いが必要じゃないように感じたんだよ。でもビートルズは偉大だったし、解散は残念だった。ジョン、ポール、ジョージはその後もうまくやっていったし、リンゴもね。ちょっと待って、犬を外へ出すから・・・

(ここでグラハムは飼い犬を外に出した)

僕にとっては、ビートルズの解散はもう世界の終わりのように思えたよ。だからもう分かるだろう?僕をこの道に導いたのは誰かってことは。

 

GW:ええ、でも当時、あなたはビージーズともやってましたよね。

GB:うん、彼らとも仕事した。曲も書いてくれたしね。

 

GW:世界的に有名な別のグループともやっていたのに、ビートルズの解散はそんなに堪えたのですか?

GB:当たり前だよ!ビージーズもショックを受けていたんだから!ビートルズは彼らのヒーローでもあったし、あらゆる点でお手本にしていたんだから。ジョンの声をバリーは真似でいたしね。ロビンはロイ・オービソンのファンで、高い声を出したがっていた。だからビートルズの解散は彼らにもショックだったんだよ。世界中がショックを受けた。彼らが世界を変えてきたんだからね。音楽だけじゃなく、ファッションや言動さえもね。

 

GW:レコーディング技術もそうですよね。

GB:うん。初期にはジョンは実験的なことをやりたがったし、そのために彼はフィル・スペクターを引き入れたんだ。ドラマー三人、ベーシスト二人、みたいな馬鹿げたことまでやってね。ジョンがジョージ・マーティンに言ったことがあるんだ。「レズリー・ゴーアみたいなサウンドはどうやったら作れる?」って。「It’s My Party」のような、ね。ジョージは、彼女が二重唱をしたからだと言ったんだ。それでジョンはそれからずっと二重唱をやることにした。待って、犬を中に入れるから・・・

(ここでグラハムは犬を室内に入れた)

えーっと、どこまで話してたっけ?何の話だった?

 

GW:ヨーコと解散のことからレコーディング技術に話になってました。

GB:そうだった。

 

GW:アップル・ビルの周りにたむろしていた「アップル・スクラッフス」と呼ばれた女の子たちの映像があるんですよ。ニュース報道の後にテレビのクルーに話し掛けているんです。彼女たちはヨーコではなく、リンダを責めているんですよ。

GB:リンダがポールと結婚したからね。女性ファンのジェラシーだろう。ビートルズの解散を誰かのせいにしなきゃならなかったんだ。それはビートルズと肉体関係にある人が標的になったんだ。あらゆる人の名前を挙げていたよ。彼女たち曰く、「みんな不潔よ」ってね。不潔でも何でもないのに!

 

GW:ビートルズの曲でお気に入りを訊くというのも馬鹿げたことかもしれませんが。あまりに多過ぎて。でももしビートルズを聴いたことのない人に勧めるなら何を選びますか?

GB:僕は「I Am The Walrus」が大好きなんだ。最初に聴くには、ちょっとへヴィ過ぎるかな。実験的過ぎるね。それと「Strawberry Fields」もね。歌詞も難解だし。特に意味はないんだけど、とても詩的だよね。ジョンはきちんと韻を踏んでいるし、サウンドも研ぎ澄まされている。でも同時に大胆でもある。彼は話すように詞を書いていたんだ。ごく初期の「I’ll Be On My Way」とか「I’ll Follow The Sun」とかね。後者は後にアコースティックな美しいメロディのバージョンになってポールが歌った。「And I Love Her」もね。

 

GW:彼らは同時に秀逸なカバーもやってましたね。「Chains」なんていいですよね。

GB:ああ。「Chains」も「Please Mr Postman」もね。オリジナルはマーヴェレッツなんだけどね。「Til There Was You」のギター・ソロは誰が弾いているのか、今でも分からないんだけど。

 

GW:ジョージだと思いますよ。

GB:そう思うんだけど、フィーリング的にはポールのような気もするんだ。ポールがアコースティックで弾いた感じがしてね。「Blackbird」みたいに。

 

GW:ポールのベース・プレイは、当時では革新的でしたよね。「All My Loving」の下降していくベースラインなんてね。

GB:ああ、ジョンの三連符のリズム・ギターもね。

 

GW:私は今だにあんな風に弾けませんよ。

GB:あれをマスターするのは大変だよ。弾き続けるのさえ、ね。ポールもジャズのベースラインのようにプレイしているし、二人のプレイを合わせたところにジョージのグレッチでのソロが入って、カントリーぽい味が出ている。凄い曲だよね。三人の素晴らしいプレイが新たなものを生み出したんだ。ビートルズがいつもこうだったということは、誰にでも分かるよね。デビュー・アルバムも、バディ・ホリーのいいところ、エヴァリー・ブラザーズのいいところ、リトル・リチャードのいいところが全部出ている。気に入りの1曲、2曲を選び出すことは無理だね。

 

GW:だから馬鹿な質問だなと思ったんですけどね・・・

GB:実際には誰にもお気に入り曲があるんだろうけど、僕は全曲が好きだな。

 

GW:メモラビリアは何か持っていますか?

GB:いいや。アルバムさえ全部持っていないんだ。ビートルズ・ファンだったのにね。友だちの家のガレージの物置に置いてきてしまって、それきりになったりとか。バディ・ホリーのボックスセットもそこに含まれていたよ。テキサスのルボックでプレイした時に、彼の家族にサインしてもらったものだったのに。

 

GW:それは痛いですね!

GB:ああ。バディの弟さん、お父さん、姪っ子さんがアルカトラスのファンだったんだ。姪っ子さんがコンサートに来てくれてね。おかしいことに、ペニー・レインって呼ばれてたよ。

 

GW:かわいいですね!

GB:イングウェイ・マルムスティーンがまだいた頃だな。奴にバディ・ホリーのことを説明しなきゃならなかった。奴は知らなかったんだよ!あの日は忙しくて、キーボード・プレイヤーがバディの両親が来ていることに気づいたんだ。それで家にお邪魔して、ポールも持っていたというボックスセットにサインしてもらったんだ。でも僕のレコード・コレクションとともにどこかに行ってしまった。アメリカを離れて、しばらくオーストラリアに滞在するから、ということで友人の家に預けたんだ。同じ時に預けたギター数本もどこかに行っちゃったんだ。預けた先の友人曰く、「何も残ってないよ。」だって。たぶん僕が戻って来ないと思って、売り払ったんだと思うね。

 

GW:酷いですね。

GB:証明できないからな・・・

 

GW:もっと楽しい話をしましょうか。ビートルズが作った記録を破ったと言うと批難されますよね。例えば、ワン・ダイレクションのデビュー曲がいきなりホット100でトップ10に入ったこととか。第二のビートルズ、もしくはそんな影響力を持ったバンドは今後出てくると思いますか?

GB:んー・・・・疑わしいな。彼らが変革した音楽をまだ人々は聴いているんだからね。50年も前の音楽を。彼らはすべてのものを変革したんだ。新たなビートルズが出てきても、そこまでできるかどうか・・・。そんなバンドが出てくるかどうかは分からないね。考え得る限りの事が実現する現代だよ。ビジネスも大きく変わってきた。もう芸術が入り込む余地はないんじゃないかな。目的は「金儲け」だ。それは当時と変わらない。でももはや音楽においては芸術性は失われていると思うね。第三次世界大戦以外で、この世の中を変えられる事が起こるとは到底思えないんだ。

 

GW:笑えないです。近年の政治の雲行きを考えれば、有り得ないことじゃなさそうですから。

GB:バンド内の絆もなくなっているよ。メンバーがメールでレコーディングしているという現状だ。かつては同じ部屋に入って、目と目を交わしてレコーディングして、曲を作ったものさ。もう今はすべてがエレベーターのような音楽に聞こえるね。良過ぎるんだ。完璧過ぎるんだよ。でもそこには魂はないんだ。「フランク・シナトラこそが歌手らしい歌手だ」なんて、じいさんが言ってるのと同じじゃないよ。僕がガキの頃、よく聞かされたけどね。そんなことを言っているんじゃない。魂の問題なんだ。それがもはや音楽にはない、って言っているんだよ。

 

GW:最後になりますが、彼らのソロ活動についてはどう思っていますか?

GB:ジョン、ポール、ジョージの活動については素晴らしいと思うよ。リンゴはそれほどでもない。僕はどうしてもボーカルを聴いてしまうので、リンゴはイマイチなんだ。それに、彼のレコードは多分にコメディタッチに思えるし。リンゴのことをあまりシリアスなミュージシャンとは思っていないんだよ。

 

GW:彼自身もそう思っていますよ。自分はそれほど才能あるミュージシャンじゃないんじゃないか、って。

GB:いまだにどこか野暮ったいだろ?彼はビートルズの道化役だったし。みんなに好かれる人ではあるけどね。かわいいところがあるし、憎めないから。素晴らしいドラマーであることは間違いない。今でも。でも他の三人は素晴らしい曲も作っているからね。ジョージの『All Things Must Pass』、ジョンの『Imagine』、ポールの『McCartney』なんかを初めて聴いた時には衝撃を受けたね。

 

GW:彼らは音楽史の伝説的存在ですよね。彼らを超えるバンドは出てこないですね。

GB:でもぼちぼち、世の中を驚かせてやろうという動きが出てくるかもしれないよ。みんなが金儲けのために、あまりに心地良い音楽ばかり作っているからね。これまでとは違ったものが出てくる唯一のタイミングかもしれない。それがクイーンだったと思うんだ。初めて「Bohemian Rhapsody」を聴いた時は、「何じゃ、これは?」と思ったものね。

 

GW:私見では、ビートルズが成功した時期は二通りあったと思うんです。1965年以前の成功例に続いたのがアバ、「Let It Be」以降はクイーンだったのではないか、と。

GB:そうだね。それにカーペンターズもいたね。カレン・カーペンターの声を初めて聴いた時は、何てきれいな声だろうと思ったよ。でも僕にとってはクイーンがそれ以上だった。

 

GW:グラハム、お話しできて楽しかったです。ありがとうございました。

GB:どういたしまして。元気でね。来年また日本で会おう。